
金曜日, 5月 14, 2010
蛸

数日前の新聞に載ったゾッとする話し。
ギリシャの破綻から円高ユーロ安が進んでいる。
ギリシャの場合は、各国がギリシャの国債等を購入しているだけに衝撃が伝播するわけだが、我が国を見ると
国債を購入しているのは国内機関投資家が殆ど。だから、経済危機と言われながらも
先延ばしが通用しているが、巷ではこのペースが変わらなければ、あと5年で破綻と言われている。
今日も40代で独身の友人と話していたら、「こんな酷い状態なら子孫を作らずにいたほうが、あんしんだ。」と言い切っている。これが、独身者の声の代表とも言えるだろう。
それを下記の散文詩を絡め、上手い話に纏めている。
※「死なない蛸」 萩原朔太郎
この散文詩・・・・・水族館の地下水槽に、餌もなく放置された一匹の蛸の物語。
存在を忘れ去られたその蛸を、激しい飢餓感が襲う。
{食物が全く尽きてしまった時、彼は自分の足をもいで食った。
まずその一本を。
それから次の一本を/
最後に、それがすっかりお終いになった時、今度は胴を裏返して、内蔵の一部を食い始めた}
{(中略)かくして蛸は、彼の身体全体を食い尽くしてしまった。
外皮から、脳髄から、胃袋から。
どこもかしこも、すべて残るくまなく。完全に}
この詩が世に問われたのは1939年(昭和14年)、第2次世界大戦開戦の年だ。
時代の閉塞感が痛いほど伝わってくる。
朔太郎は詩の最後を、水槽の中には{物凄い欠乏と不満を持った、人の目に見えない動物が生きていた}と結んだ。
「水槽の蛸」の寓意は、70年余の時を越えて、今の二本が置かれた財政状況にも当てはまるように見える。
巨額の国債を発行し続け、政府の債務残高と個人の資産残高が急速に接近している。
「國の借金は個人の潤沢な金融資産で消火出来るから、それ程心配ない。」とする専門家もいるが、
ここにきて借金を賄う余力が急速に弱まっていることを警告する声が高まっている。
自らを食い尽くしてしまう「臨界点」が迫っているのではないか。
ギリシャの苦悩は、他人事ではないだろう。
※
短い文だが、呼んでいてゾッとするのは俺だけではないはず・・・・70年前の話しには思えない。
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